脚を組むと腰痛になりやすい?
- なぜ脚を組むのか?
一般的に周りを見渡しても座っている際に脚を組んで座っている人は珍しくはないはずです。ですが、そんな多くの人がしてしまっている脚組みは実は姿勢の歪み、さらには腰痛に大きく関わっています。
そもそもなぜ脚を組んでしまうのでしょうか。多くの人は無意識に組んでしまっていて、それ自体の目的や理由に関しては「何となくその方が落ち着く」ぐらいにしか考えていないはずです。これに関しては、不安定性を補うために脚を組んでしまっているとされています。人は身体と周りの地面や静止しているものとの接地面積の多さにより安定感を感じます。ではなぜ、不安定な姿勢になってしまうのでしょうか・・・
2、不安定性の要因
姿勢や身体の動きに関して言えば、理想としては極論左右対称で差がないものが考えられると思います。ですが、そんな理想に反して我々の生活においては左右対称な姿勢や動作はほとんど存在していません。利き腕や作業内容、その環境にもよりますが、片側で身体を支えてもう片側で作業を行い、身体の重心においても片側に預けていることが多いと思います。
代表的な例としては車の運転が挙げられ、右利きの多くは右手1本で運転し、その際左肘を肘掛けにもたれさせて、重心を左に偏らせて安定させようとしている姿勢が多く見受けられます。その姿勢では、重心が左に偏っているのに応じて右の骨盤が上がってしまうことが多いです。こういった姿勢が習慣化してしまうと、右の骨盤が上がりっ放しになり、それに続いている右の脚も引き上がり短くなったような感覚を覚え不安定性を感じてしまいます。不安定になった右脚は無意識に接地面を求めるため、左脚の上に右脚を組んでしまいます。
3、脚組み姿勢からの影響
では、脚を組んだ姿勢が習慣化してしまうと身体にはどういった歪みなどの影響が出てしまうのでしょうか。
右脚を上に組んで座ったと仮定します。右の股関節を曲げるのに応じ右の骨盤は後方へ回転します。さらにその際体重を右側に預けようとし上半身はそのままの位置に残そうとした結果、背骨を左側に傾く形になり関節の特性として腰椎は側屈しながら、回旋します。
※図は右脚を上に組んだ状態
つまり、脚を組むと上に組む側の骨盤が後傾しそれに応じて背骨までその側へと凸状に曲がってしまうことがあります。また、後傾した骨盤に釣られて腰、背中も丸まってしまいます。背中が丸まった姿勢(円背)は腰痛になりやすく、さらに肩が前の方に出てくる姿勢になりやすく長時間続けていると肩こりにもつながりやすいです。頭が肩より前に出ているので、頭を支えるために首の筋肉も凝ってきます。下肢の血流に関して言えば、鼠径部が圧迫されることや、下側の脚はが上側の脚に圧迫されることでさらに血液の流れが低下してしまいます。
- 対策
「左右均等に体重をのせる」
一般的に人は左右どちらかに多く体重をかける傾向があります。その確認としては、座った状態で両腕を左右に広げ、骨盤を浮かせずに体幹を左右側方に移動させてみましょう。体重のかけ方に偏りがある人は左右で移動のしやすさに差があることが多いです。そういった方は、普段の姿勢から左右均等に荷重するようにしましょう。立位では両足に、座っているときは後方重心による猫背にも注意し両方の坐骨に均等に体重を乗せるように気を付けます。
「上がっている骨盤の下にタオルを敷く」
上記にあったように、組みたくなる側は逆側に重心が偏ることで骨盤並びに脚が浮き上がっていることで不安定さを感じ安定を求め組んでしまいます。なので、不安定になっている部分をタオルで埋めることで安定性を補うという手段です。まずは左右どちらに傾いているかの確認ですが、腰に手を当てどちらの腰が高いかを確認しましょう。低くなっている方の坐骨に荷重がかかってますので、高くなっている方の坐骨の下にタオルをはさみます。安定を与えるとタオルを挟んだ側の坐骨にも徐々に荷重出来る様になり身体の習性を整えていきます。
引用文献
1) 「専門医が治す!腰痛」 著者:三木英之、蒲田和芳