テレワークでテニス肘?!
新型コロナウイルスの影響でテレワークになり、パソコンを使う機会が増えたと思います。みなさんはパソコンのキーボードを打つ時に肘の外側が痛くなることを経験したことはないでしょうか?もしかしたら、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)が起こっているかもしれません。
テニス肘とは腕を伸ばす筋肉(前腕伸筋群)のいずれかが炎症を起こし、痛みを出しています。腕を伸ばす筋肉に負担のかかる「ラケットでボールを打つ」「手首を反らす」「腕をねじる」といった動作で痛みが出るのが特徴です。
〇テニス肘発症メカニズム
テニス肘は上腕骨外側上顆に付着する前腕伸筋群の炎症のことで、前腕伸筋群の柔軟性低下と過剰収縮で生じます。
なぜパソコンのキーボードを打つとテニス肘が発生するのでしょうか?
まずキーボードを打つ時、指を曲げる運動が起きていますが、効率よく指を曲げるためには手関節は自然と反らす(背屈位)状態になっています。手関節を反らすことで指を曲げる筋肉の筋長(筋の長さ)が長くなり、筋発揮がしやすくなります。この手関節を反らす状態を保つのに必要な筋肉が前腕伸筋群です。長時間キーボードを打ち続けると前腕伸筋群の筋緊張が高くなり、テニス肘が発症します。
〇セルフケア
上記の症状は炎症が落ち着けば痛みがとれることがほとんどです。以下のセルフケアをしっかり行うことで、症状の緩和に期待できます。
①患部へのアイシングor温め
➡痛みが出た急性期は、患部が熱を持っている状態なのでビニール袋や氷嚢に氷を入れてアイシングを行いましょう。痛みが長引く場合は、温めることで痛みが和らぐことがありますが、一度専門医での受診をおすすめします。
②サポーターやテーピングの使用
➡サポーターやテーピングを使うことで、肘にかかる負担を軽減します。ご自身の肘のサイズにあうサポーターを使用しましょう。
③腕のストレッチ
➡腕のストレッチを2種類紹介します。
図1 親指を曲げる筋肉のストレッチ(長母指屈筋)…親指を下に引っ張りながら、肘を伸ばし手首を反らします。
15秒間伸ばしていき、これを複数回繰り返します。
図2 手首を反らす筋肉のストレッチ(短橈側手根伸筋)…肘の外側に指を入れ、腕を外・内と回旋させていく。リズミカルに行いましょう。
これらのストレッチを行うことで肘の痛みを軽減、関節の動きを良くする事に繋がります。
〇終わりに
これらの症状が出た際は、上記で述べましたセルフケアで対処出来ることもあります。ですが、専門医に受診しレントゲン撮影を行い骨に異常がないかを確認する必要があります。その上で専門医のアドバイスを聞くことも必要です。
参考文献:青木治人 スポーツリハビリテーションの臨床
工藤慎太郎 運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学