発熱、関節痛、筋脱力、特徴的な皮疹(ヘリオトロープ疹 ゴットロン徴候)ではじまります。病気が皮膚、および筋肉に来たときは皮膚筋炎で、筋肉のみに来たときは多発性筋炎と呼ばれます。これらは、筋炎という点で一緒に語られることが多いですが、実際は、皮膚筋炎は皮膚、および筋肉を栄養する血管の血管炎であり、多発性筋炎は筋肉の細胞そのものへの障害が認められます。
膠原病全体にいえることですが、現在用いられている分類はあくまでも症状を基に患者さんたちを分類しただけのものであり、真の根本原因、病態で分類したものではないのが実情です。実際、筋炎の分野では、自己抗体(抗ARS抗体、抗SRP抗体)の種類で病気を再分類する動きが出てきています。近い将来は、より個々の患者さんにあった病名、治療法が開発されることでしょう。
その他の症状として、間質性肺炎がよく知られています。また、悪性腫瘍(癌)の合併も多いといわれており、全身の精査が必要です。
診断は筋肉より放出される酵素(CPK、アルドラーゼ、ミオグロビンなど)を測定し、筋生検を行えば確定します。多くの患者さんはステロイドホルモン、免疫抑制剤による治療によく反応しますので適切な治療をうければ通常の生活が出来るようになります。
CPKのあまリ上昇しない皮膚筋炎をAmyopathic DM(ADM)と呼び、予後不良の間質性肺炎を合併することが多いため注意が必要であるとされています。不用意な治療はかえって病気を悪くするため経験豊かな専門医による診断、治療が不可欠です。指の手背側の関節部の皮疹、肘の伸側の皮疹など認める方はきちんと専門医にかかって下さい。
(1) 皮膚症状
(a) ヘリオトロープ疹:両側又は片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑
(b) ゴットロンの徴候:手指関節背面の角質増殖や皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑
(c) 四肢伸側の紅斑:肘,膝関節などの背面の軽度隆起性の紫紅色紅斑
(2) 上肢又は下肢の近位筋の筋力低下
(3) 筋肉の自発痛又は把握痛
(4) 血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼ又はアルドラーゼ)の上昇
(5) 筋電図の筋原性変化
(6) 骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛
(7) 全身性炎症所見(発熱,CRP 上昇,又は赤沈亢進)
(8) 抗Jo-1 抗体陽性
(9) 筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性及び細胞浸潤
皮膚筋炎:(1)の皮膚症状の(a)~(c)の1 項目以上を満たし,かつ経過中に(2)~(9)の
項目中4 項目以上を満たすもの
多発性筋炎:(2)~(9)の項目中4 項目以上を満たすもの
感染による筋炎,薬剤誘発性ミオパチー,内分泌異常に基づくミオパチー,筋ジスト
ロフィーその他の先天性筋疾患
注意!!診断基準はあくまでも目安に過ぎません、早期の症例では基準を満たさないことは多くあります。しかし、早期に治療することで重症化せずにすむ場合も多いので疑わしければ受診するようにしてください。