リウマチ

早期発見・早期治療の大切さ

世界的に使われているアメリカリウマチ協会(ACR)基準は、関節症状が6週間以上持続しないとダメとされています。他の疾患を厳密に除外するためには必要かもしれません。しかし、専門家による診断はそんなに待つ必要はありません。周辺の情報を考慮しつつ出来るだけ早く診断し、早く治療に入ります。このことが病気の予後を大幅に改善します。最近アメリカより発症6ヶ月以内をWindow of opportunity(絶好の機会)として、この時期に治療に入るべきであると強調されています。新しい関節リウマチ分類基準(2010)は、この点が重要視されより早期に関節リウマチと分類できるように作成されています。しかし、鑑別診断をきちんと行う事が必要ともされています。

関節リウマチの薬物治療の基本は、①抗リウマチ薬(DMARDs)、②消炎鎮痛薬(NSAIDs)、③少量のステロイドホルモン(PSL)です。抗リウマチ薬に免疫調整剤、免疫抑制剤、生物学的製剤があります。

リウマチの治療に使われる薬剤副作用
  • 消炎鎮痛剤(非ステロイド)
    従来型(強力)…インドメタシン、ロキソニン、ボルタレン、クリノリルなど。COX-Ⅱ抑制剤(作用はやや弱い)…胃腸障害などの副作用を少なくするため開発された。メロキシカム(モービック)ロフェコキシブ(近く発売)これらは痛みは軽減するが、長期的にRAの活動性、骨破壊は抑えず、痛みを抑えてQOLを改善することを目的とする。
  • ステロイドホルモン
    通常の消炎鎮痛剤の数倍の消炎効果がある。プレドニン、プレドニゾロン、メドロールなど。

非ステロイド性消炎鎮痛剤剤…胃粘膜障害・むくみ・腎障害など。

ステロイド剤…満月様顔貌・皮膚萎縮・骨粗鬆症・糖尿病増悪・多毛症・皮下出血など。早期RAに7.5mgのステロイドを使うと骨破壊を抑制したとの報告もあります。リウマチ治療に使う1日1錠以下のステロイドホルモンでは長期服用しても問題ありません。顔が一時的に丸くなることがありますが、腎臓が悪くなったのではなく、皮下の脂肪細胞が少し肥えただけです。心配無用です。しかし常に減量する試みは必要です。

  • 免疫調整剤…シオゾール、リドーラ、メタルカプターゼ、リマチル、アザルフィジン等。効果の発現は遅く1~3ヵ月を要すが効きだすと強力。よく効く人とそうでない人がいて、効果の持続も人によりまちまちです。早期治療によりこれらの薬剤のみで長期安定を保てる方もいます。

皮膚の発疹とかゆみ・蛋白尿・味覚障害・爪変化・肺線維症・口内炎など

尿検査・血液検査・胸部X線などの定期検査が必要です。

  • 免疫抑制剤…メソトレキセート(MTX・RTX)、イムラン(アザニン)、エンドキサン、ブレディニン、ネオーラル。最近は第1選択薬としても用いられる。

間質性肺炎・貧血・肝障害・白血球減少易感染性・骨髄抑制

定期的な血液検査、肺CTなど必要。

  • 生物学的製剤…TNF阻害剤、IL-6阻害剤、活性化T細胞選択的抑制剤。
    21世紀のリウマチ治療を根底から変える。次なる新薬が続々とつづく。

ヒト型の抗体が作られ、効果も優れている。日和見感染など副作用も多い。専門家の管理下で使う必要あり。


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